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将棋は日本の伝統的なボードゲームで、その奥深さに魅了される人は多いです。しかし、将棋の世界に足を踏み入れると、その複雑さや専門用語に戸惑うこともあるでしょう。
特に初心者にとっては、何から学び始めれば良いのか、どのように戦術を理解し、形勢を判断するのか、といった問題が立ちはだかります。
この記事は、将棋の基本用語から戦術、戦略までを、初心者でも理解できるようにわかりやすく解説しています。
著者は、将棋アマ初段として、これらの用語や戦術を丁寧に解説。記事の内容は、将棋の基本用語、攻撃と防御の基本的な戦術、駒の使い方と交換、そして形勢判断の基準について詳しく説明しています。
この記事を通じて将棋の基本を理解し、自信を持って対局に挑めるようになります。
将棋用語とその解説
将棋は日本の伝統的なボードゲームで、多くの専門用語があります。
ここでは、将棋の基本用語から攻防、駒の操作と交換、戦術と戦略、そして形勢判断の用語まで、わかりやすく解説します。
基本用語
棋譜
棋譜は将棋のゲームを記録するための方法で、その記録は将棋界において重要な資料とされます。
棋譜には通常、盤上の座標と各駒の動きが詳細に記されており、後からその対局を再現することができます。
これは、プレーヤーが自分自身のプレーを振り返り、改善点を見つけるため、または他のプレーヤーがその対局を学ぶために用いられます。
更には、歴史的な対局や名局を保存し、後世にその知識や戦術を伝える役割も果たしています。
形作り
将棋の用語「形作り(かたちづくり)」は、対局の流れや局面において特定の状況を指す言葉として使用されます。
形作りは、将棋の対局において敗勢になった側が投了する際の局面を美しく見せるために行う行動を指します。
具体的には、自分が負けそうな局面で、自身の玉に詰めろがかかっていることに気づいているが、それを解除することなく、敢えて攻め続けることを指します。
そして、相手が自分の玉を詰めに来た際に、一番美しく見せる局面になるまで指し進めて、そこで投了することを指します。この形作りの目的は、投了した時の局面を美しく見せることにあります。
壁
将棋の用語「壁」は、主にゲームの盤上で、特定の駒の配置が玉の移動や他の駒の活用を制限している状況を指します。
具体的には、味方の駒が集まって一種の「壁」を形成し、これが一時的には有利な場面もありますが、多くの場合においてはこの「壁」が盤上から無い方がより良い局面を作ることができます。
将棋のプレイにおいて、序盤では自陣の「壁」をできるだけ早く解消することが推奨されており、中終盤では相手陣に「壁」を作らせることで、攻めの手を進めやすくすることができます。
壁銀
将棋の用語「壁銀(かべぎん)」は、特定の局面で見られる状況を表す言葉です。具体的には、味方の銀将が王将の退路を遮断してしまう状態を指します。
この状態は、王将が逃げる道を自分の銀将が塞いでしまっていることを意味し、戦術上不利になるため、避けるべきとされています。
壁銀は、将棋盤上での王将の安全を確保する上で重要な考え方であり、王将の逃げ道を確保することは防御の基本です。
しかし、壁銀の状況では、銀将が王将の逃げ道をふさぐ形になってしまうため、王将が逃げられない状況が生じ、これが戦術上非常に不利とされています。
利かし/利かす
将棋の用語「利かし」は、一時的な攻撃を指し、主に相手の戦力を削ったり、陣形を崩すなど、後々の攻めを容易にする効果を目指して行われます。
攻撃側から見ると「利かす」や「利かしを入れる」と表現され、防御側から見ると「利かされる」と表現されます。
さらに、「利かし」は不本意な受けを強要し、相手の陣形を乱そうとすることを指します。「利かされ」という表現は、相手が自分に対して利かしを指す手を指してくることを意味しています。
また、「利かし」は部分的な数手のやり取りで得をすることを指し、これをされた側は「利かされ」と表現されると説明されており、プロのプレイヤーはこの形を嫌うとされています。
利かしの技術は、局面を自分に有利に進めるための重要な戦術とされ、効果的に利かしを使用することで相手の陣形を崩し、将来の攻めを容易にすることができます。
遊び駒
将棋の用語「遊び駒(あそびごま)」は、特定の局面で攻めにも受けにも貢献していない駒を指します。
具体的には、盤上にあるが現時点で攻めの役割や守りの役割を果たしていない駒を指します。遊び駒は、その局面の攻防に有効に働いていない駒と表現されます。
ポイント
遊び駒の状態は、王将の位置と反対の端に追いやられた金駒や、歩で駒の利きを止められてしまって1~2手では活用できない竜や馬について言われることが多いようです。
遊び駒の存在は、将棋の局面を評価する上で重要な要素であり、遊び駒が多いほどその局面は不利であると言えます。
遊び駒は戦術的に貢献していないため、有効に活用することで局面が有利に変わる可能性があります。遊び駒を活用するためには、その駒を有効な位置に動かし、攻めや守りに貢献できるようにする必要があります。
模様がいい
将棋において「模様がいい」という表現は、盤面上での駒の配置が美しい陣形を形成し、各駒が効果的に働いている、かつプレイヤーにとって指しやすく感じられる局面を示します。
このような局面は、駒の動きがスムーズで、次の手を考えやすい特徴があります。
特に序盤の段階で、良い陣形を築くことができれば、中盤や終盤に向けて有利な位置を確保できる可能性が高まります。
この表現は、将棋の初期段階での戦術的な展開を評価する際に非常に重要で、プレイヤーは序盤で「模様がいい」局面を作り出すことを目指します。
しびれる
将棋の世界で「しびれる」という表現は、プレイヤーが相手によって突然良い手を指され、それにより非常に困難な状況に陥ることを表現する際に使用されます。
この言葉は、相手の手の良さや意図を見落としていた場合や、予期せぬ優れた手を指された場合に特に使われることがあります。
この表現は、プレイヤーが相手の手に驚かされ、その手に対処するのが難しくなる状況を非常に的確に表現しています。
手損
将棋における「手損」という用語は、指し手の効率が悪くなる状況を指します。具体的には、同じ結果を得るために通常より多くの手数を使ってしまうことを意味しています。
例えば、1手で達成できる目標を2手かけて達成してしまうような場合が「手損」とされます。
「手損」の意味は、文字通り、手(ターン)を損することを指しています。
例えば、特定の戦法である「後手番一手損角換わり」は、後手から角を交換することで実質的に手を損することを示しています。
厚い/厚みがある
将棋における「厚い」または「厚みがある」という表現は、特定の地点や範囲において、自分の駒やそれらの利きが多く集まっている状態を指します。
具体的には、自分の駒が有利な位置に配置され、その位置から多くの利きを持っていることにより、良い局面が作られることを意味します。
この状態を日本語で「厚みがある」と表現し、このような状態を作ることを「厚みを築く」と言います。
主に攻めの局面と受けの局面の両方で使われることがあり、その使われ方や意味合いが少し変わることがあります。
例えば、攻めの局面では、厚みがあることで相手の王への攻撃が効果的に行える可能性が高まります。一方、受けの局面では、厚みがあることで相手の攻撃を防ぐことが容易になります。
ポイント
また、「厚い」という表現は、主に駒の上部の枚数だけで判断されることが多いのに対して、「手厚い」という表現は、相手との接触方向を考慮して判断されることが多いという違いがあります。
たとえば、「手厚い将棋」や「手厚く指す」と言われる場合、これは相手の仕掛けを封じるように自分の駒を配置することを意味します。
小ビン
将棋における用語「小ビン(こびん)」は、盤上における特定のマスの位置や、その状態を示すために使われる言葉です。具体的には、王や飛車の斜め前にあるマスを指します。
このマスが重要である理由は、守りの駒が配置されていないと、敵の角によって王手がかかりやすくなるためです。
王や飛車がこの位置にいる場合、そのマスに歩や他の守り駒を配置することで、角による攻撃を防ぐことが可能になります。
このような状態を「コビンがあいている」と表現します。特に、このマスに守り駒がないと、敵の角による攻撃が非常に厄介な状況を生み出し、王の安全を脅かす可能性が高まります。
ポイント
また、将棋における攻めの手法として「こびん攻め」という表現もあります。この表現は、角を利用して相手の王や飛車を攻める際に使われることがあります。
特に、相手のコビンが空いている状態を利用して、角で攻める戦術が指されることがあります。これは、相手の王や飛車の動きを制限し、自分の攻撃を有利に進めるための重要な手法となります。
長考
将棋の用語「長考(ちょうこう)」は、文字通り長く考えることを指します。具体的には、プレイヤーが次の一手を指す前に長い時間をかけて考える行為を指します。
これは、特に囲碁や将棋のような思考型の対戦ゲームにおいて見られる現象です。プロ棋士の中には、長考を通じて盤面を詳細に観察し、または心の中で将棋盤を描きながら、駒の動きとその先の展開を予測する人もいます。
しかし、長考は必ずしも良いことを意味するわけではありません。
実際、将棋の世界には「長考に好手なし」という言葉が存在し、これは長く考えたからといって必ずしも良い手が指せるわけではない、という意味を含んでいます。
むしろ、長考はプレイヤーが迷っていることを示す場合が多く、創造的な思考が少ないことを意味することもあるとされています。
長考に陥る原因としては、事前に相手の動きを予想できていなかったことが挙げられており、この状態はプレイヤーにとって必ずしも自信を持てるものではないとも考えられています
不成(ならず)
将棋の「不成(ならず)」は、特定の駒が敵陣に入った際にその駒を成る(昇進させる)か、成らないかを選択する時のルールを指します。
通常、将棋では敵陣に進入した駒は「成る」ことで強い駒に昇進させることができますが、その際に昇進せずに元の駒のままでプレイを続ける選択を「不成(ならず)」と言います。
不成は通常、歩、飛車、角に対しては行われない選択であり、これらの駒は成った方が強くなるため、昇進させることが一般的です。
しかし、特定の状況下では、不成を選択することで利点が生まれることもあります。
例えば、敵の王に対し王手を迫る局面で「打ち歩詰め」というルールを回避するために、飛車や角を昇進させない選択をすることがあります。
注意
また、敵陣に進入した際に成ることができるのは、王、金、成駒を除いた駒であり、敵陣内で動いた場合や、敵陣から出た場合でも同様に成ることが可能です。
入玉(にゅうぎょく)
将棋における「入玉(にゅうぎょく)」は、一方の玉将、または王将が敵陣内(相手側の三段目以内)へ移動することを指します。
この言葉は、玉の駒が相手の陣地に入ることを明示するために使われる用語であり、入玉した状態は詰ませることが非常に困難になるため、特別なルールが適用されます。
具体的には、入玉すると自分の玉の周りに金を沢山作ることが可能となり、一度入玉してある程度駒を玉の周りに固めてしまえば、相手側からすると詰ますことがかなり困難になるとされています。
さらに、入玉している場合、王将(玉将)が非常に詰みにくくなるため、特殊な条件で勝敗が決まります。
指しすぎ
将棋の用語「指しすぎ」は、プレーヤーが無理に攻めたり、防御に必要以上に持ち駒を使用したりすることを指します。
具体的には、プレーヤーが攻めの手を進める際に、過度に攻めてしまい形勢を悪化させる状況を表します。
この言葉は主に攻めの文脈で使われ、そのような場合には「無理攻め」と同義となります。さらに、無理な攻めが続く一連の手順は「無理筋」とも呼ばれることがあります。
このようなプレーは、相手にとって持ち駒や玉の安全度に余裕をもたらし、自身は厳しい反撃を受けやすくなる状態を作り出してしまいます。
指せる・指しやすい
将棋の用語「指せる」と「指しやすい」は、局面の形勢やプレイヤーの立場を表現する際に使われることがあります。
「指せる」という表現は、基本的にプレイヤーが将棋のルールを理解していて、勝ち負けを判断でき、友人と一緒に楽しんでゲームをプレイできる状態を指します。
一方、「指しやすい」という表現は、局面が互角であるか、または少し優位に立っている状態で、プレイヤー自身の有力な手が理解しやすく、指しやすい状態を指します。
具体的には、「指しやすい」は、正確に手を指せば、難しい勝負が続くものの、確率的にプレイヤーが優勢になりやすいという期待を表現しています。
また、「指しやすい」の状態は、プレイヤーが相手に対して少し有利であると感じる局面を表現する際にも使われることがあります
指しにくい
将棋用語の「指しにくい」は、特定の局面でのプレイヤーの動きや判断が難しい状況を表現するために使われる言葉です。この用語には主に以下の二つの意味があります。
- この場合、「指しにくい」は、「指しやすい」の反対の意味を持ちます。具体的には、正確に指すことで難しい勝負が続く可能性がありますが、確率的に自分の方がミスをしやすいという懸念を表現しています。
- また、「指しにくい」は、指そうとしている手について、目先にためらわれる要素があることを指します。
- 具体的な例としては、自分の大駒の利きを止めてしまう、金駒が自玉から離れる、別の使い道を含む持ち駒を使うなどがあります。
好手
将棋用語の「好手」とは、局面を有利に進める良い指し手を指します。特に、形勢を良くする指し手で、「悪手(あくしゅ)」とは対象的な意味を持ちます。
好手は最善手であることが多いが、その中でも特に気付きづらい手や勝敗を決定づけるような手として表現されることもあります。
また、好手は、将棋において勝利に繋がる良い指し手とされ、特に複数の指し手のパターンが考えられる局面で重要視されます。
さらに、手の広い局面で特に良いと思われる手のことを好手と評価し、駒の取り合いなど一直線の進行では好手とは言われないこともあります。
好手は、複雑な局面や手の広い局面で特に重要であり、そのような局面での選択が勝敗を大きく左右することがあるため、好手という言葉は将棋の戦術や戦略を理解し、適切な指し手を選択する上で非常に重要な概念となります。
最善手
将棋用語の「最善手」は、特定の局面において最も適切かつ効果的な手を指す言葉であり、読み方は「さいぜんしゅ」となります。
具体的には、「最善手」とはその局面で最も良い結果をもたらす指し手を意味します。
将棋は非常に複雑なゲームであり、多くの異なる局面が存在し、それぞれの局面において最適な手が存在します。
このため、「最善手」は非常に重要な概念となっており、プレイヤーは常に最善手を探求することで局面を有利に進めようと努めます。
また、「最善手」は、「最も良い指し方」を意味する言葉として、将棋コミュニティ内外で広く使われています。
悪手
将棋用語「悪手(あくしゅ)」は、ゲームの局面において形勢を不利にするような不適切な指し手を指します。
この用語は、プレイヤーが不利な局面を作り出すための手を指した時に用いられます。
具体的には、悪手は局面を明らかに悪くするきっかけとなるような良くない指し手で、その結果形勢が変化します。
変化が比較的小さい場合は「疑問手」と言われることもあります。重大な失敗をして大幅に不利になる場合には「大悪手」と呼ばれることもあるようです。
悪手を減らす方法として、より経験豊富なプレイヤーからアドバイスを受けることが推奨されています。
悪手は、「失着」と同じ意味であり、「好手(こうしゅ)」とは反対の意味になります。形勢が明らかに「互角→劣勢」「有利→不利」のように変わる場合に「悪手」と言われることがあります
ポカ
将棋の用語「ポカ」とは、プレーヤーがうっかりとミスをしてしまい、その結果として悪手を指してしまう状況を指します。
具体的には、プレーヤーが不注意や注意不足で、ゲームの流れを悪化させる手を打ってしまうことを指します。
このようなミスは、特に形勢が互角またはそれ以上であった場合に、次の手や数手後に駒を無償で取られたり、詰まされたりして一気に形勢を損ねてしまう場合に「ポカ」と表現されることが多いです。
また、「ポカ」という表現は、さらに強調するために「大ポカ(おおぽか)」と言い換えられることもあります。
疑問手
疑問手(ぎもんしゅ)は将棋における用語で、特定の局面においてプレイヤーが行った手の評価やその手の意味を表現するのに使われます。
通常、疑問手とは勝敗に直接影響を与えないが、それほど良いとは考えられない指し手を指します。
例えば、いくつかの有望な手が見える中で、プレイヤーがそれとは異なる、あまり良くないと思われる手を指した時に、その手は疑問手と評価されることがあります。
疑問手は、通常「悪手」よりもマイルドな評価であり、明らかな悪手でないものの、もっと良い手があったのではないかと思わせるような手を指します。
疑問手の中でも、特に中途半端な指し手は「緩手」や「甘い手」とも呼ばれることがあります。
緩手
緩手(かんしゅ)は将棋における特定の用語で、その指し手が局面において最善ではない、または中途半端な攻めを指すとされています。
具体的には、緩手は、攻める際に最善を逃し、狙いが中途半端で厳しさに欠けるような手を指します。
このような手は、「甘い手」とも呼ばれることがあります。また、緩手は相手に対して打撃を与えることができない手を指し、これは「ぬるい手」とも表現されることがあります。
ポイント
この用語は、プレイヤーが局面においてより良い、または厳しい手を指すべきであったが、その代わりに緩い、または良くない手を指したときに使われます。
緩手は疑問手よりは悪くないとされ、不利な側が指した場合、緩手ではなく勝敗に直結する悪手や敗着となります。
攻撃と防御
合駒
合駒(あいごま)は将棋の用語で、特定の局面において自分の王を敵の攻撃から守るために用いられる手筋です。
具体的には、相手の走り駒(長距離に利く駒、例えば飛車や角行など)が自分に対して王手をしてきた時、自分の駒を間に配置してその利きを止める行動、またはその行動で用いられる駒のことを指します。
割り打ち
割り打ちは将棋の戦術の一つで、特定の局面で利用される手法を指します。
具体的には、相手の飛車や金が一つの間を空けて横に並んでいるときに、プレイヤーが銀を打ってその両方の駒に対する脅威を作り出す手法です。
この戦術は、その銀が右斜め後ろと左斜め後ろの2マスに相手の飛車または金に対して両取りの脅威を作り出すことで実現されます。
割り打ちは、局面を有利に進めるためや、相手の攻撃を防ぐために利用されることがあります。
この手法は特定の局面で非常に効果的であり、プレイヤーが相手の駒の配置や動きを制限し、さらに自身の攻撃の機会を作り出すことができる点で価値があります。
また、「割り打ちの銀」というフレーズもこの戦術を指して使われます。
即詰み
即詰み(そくづみ)とは、将棋における特定の局面を指す用語で、プレイヤーがどのような行動を取っても、次の手で玉が取られてしまう状況を表します。
この言葉は、詰将棋の最初の形のように、攻め方から指して王手の連続で詰めの状態まで持っていけるときに使われることもあります。
特に、棋士が解説で「詰みがあります」と言う時には、たいてい即詰みがあるという意味で使用されます。
底歩
底歩(そこふ)は将棋の用語で、特定の局面で歩を使用する戦術を指します。
底歩は、自陣の最下段に歩を打つことを指し、この動きは主に受けのために利用されます。
底歩は、特に対局者から見て一番手前の段に打った歩のことで、文脈によっては「底歩を打つ」という動作を「底歩」という一語で表現することもあります。
この戦術は、自分の他の駒の利きがある場合や、横からの飛車の攻めに対して有効な受けとなる場合に使われます。
底歩の動きは特に、金の下に歩を打つことが多く、その結果として自陣が非常に固くなります。
ポイント
また、底歩は、飛車による横からの攻めに対して、最下段に歩を打って守る手法としても知られており、特に「金底の歩は堅い」とされています。
さらに、「金底の歩、岩よりも堅し」という将棋の格言が存在するほどに有名な形で、底歩は飛車や龍による王手に対する効果的な受け方として知られています
弾く
弾くは将棋の戦術で、飛車や角などの大駒を手元に呼び込むことを目的とし、基本的には金や銀といった駒を利用して実行されます。
大駒で攻められた時に、弾く駒を使って当て返すことで防御し、相手の攻撃を受け止めるイメージです。
また、歩も重要な役割を果たし、防御を強化するために利用されることがあります。
この戦術は、相手の攻撃に対して効果的な受けを提供し、さらに局面を有利に進めるチャンスを作り出すことがあります。
詰めろ
「詰めろ」は将棋における特定の局面を指す用語で、この状態は次の手で王手の連続が始まり、それによって玉が詰みになる状態を指します。
この用語は、ある局面で何も手を打たなければ、次の手番で「王手」をかけて詰ませられる状況を表現するために使われます。
詰めろは、将棋の戦術的な局面を理解し、相手の攻めを予測する能力を試す重要なコンセプトを提供します。
また、「詰めろをかける」という表現は、このような詰みの状態を作り出すことを意味し、「詰めろがかかっている」という表現は、そのような状態が現在進行中であることを指します。
詰めろの概念は、プレイヤーが攻めと守りのバランスを取りながら、勝利に向けて効果的な戦術を計画するのに非常に役立ちます。
埋める
将棋における「埋める」という用語は、特定の戦術的行動を表すもので、自陣の囲いの周囲や囲いの中の空いているマスに持ち駒を打つことを指します。
この行動は主に、囲いをさらに堅固にし、自玉が寄せられるまでの手数を延ばすことを目的としています。
これは、相手の攻撃に対する防御を強化し、自分の王の安全を確保するために非常に重要な行動となります。
埋める行動は、空いているマスを埋めることで、囲いの弱点を補強し、攻撃に対する追加の防御層を提供します。
ポイント
また、埋める行動は、形勢が悪くなった際にも有効であり、相手がミスをする可能性を高める方法として利用されることがあります。
特に、厳しい局面での持ち駒の効果的な使用は、プレイヤーにとって有利な状況を作り出す可能性を持っています。
くさび
将棋における「くさび」という用語は、守りを崩すための初期段階として重要な足がかりを作る戦術的行動を指します。
この行動は、対手の守りを弱めるために特定のマスに駒を打つことを目的としており、その具体的な実行は、戦場の局面において攻めと守りのバランスを崩すことを意図しています。
くさびは、対手の防御を崩すことで攻めのチャンスを作り出すことを目的とし、これによりプレイヤーは対手の囲いを破壊し、攻撃を進めることが可能となります。
このような戦術的行動は、将棋の局面を有利に進めるために非常に重要であり、プレイヤーはこのような機会をうまく利用することで戦局を支配することができます。
このように、くさびは、攻撃の準備と実行の両方において重要な役割を果たし、対手の防御を崩し、攻撃の道を開くことで、戦局を有利に進める可能性を高めることができます。
無理攻め
無理攻めは将棋における特定の戦術を表す言葉で、基本的には攻めが成功しづらい状況を指します。
無理攻めの状況は、「この攻めは成立していない」と表現されることもあり、このような攻めを受ける側が正確に防御を続ければ、攻めは失敗に終わる可能性が高いです。
無理攻めには少なくとも3つのパターンが存在し、それぞれのパターンに対して異なる対応が求められ、対応を誤ると大きな損害を受ける可能性があります。
無理攻めは「成立しそうにない無謀な攻め」とも表現されることがあり、無理筋と同様の意味を持つことがあるとされています。
ポイント
具体的な状況においては、無理攻めは「相手に正しく応じられると、うまくいかない攻め」であり、特に「相手の駒の利きが多い所への攻めや、駒損するうえに相手玉への影響が薄いような攻め」に対して使われることが多いです。
基本的には、無理攻めは形勢を損ねるために避けるべきであるが、すでに形勢が悪い場合には、受けていてもジリ貧になることが多いため、無理攻めを行うことも勝負術として考えられることがあります。
いじめる
将棋における「いじめる」という用語は、特定の駒を続けて攻撃したり、角を追い詰めたりする戦術を指します。
特に、価値の低い駒を使って、価値の高い駒を追い詰めるという状況でよく使われます。
例えば、飛車(竜)や角(馬)といった高い価値の駒を、小駒を使って追い詰めたり、動きを制限したり、捕獲を図ったりする場合に、この「いじめる」という用語が使われることが多いです。
飛車や角を小駒で追い回して捕獲を図る、または動きを制限するような戦術は、「いじめる」戦術の典型的な適用例とされています
必至(必死)
“必至”(ひっし、または必死とも書かれる)は将棋における重要な手筋の一つで、この戦術は特定の局面で利用されることがあります。
“必至”という状態は、どのような受けの手を指しても、次に詰みを回避できない局面を指します。具体的には、相手玉に詰みがなく、自玉が「必至」の状態になると、相手が間違えない限り負けとされています。
“必至”の状態は、どう受けても次に即詰み(そくづみ)となる状況を指しています。
将棋の終盤においては、無闇に王手をかけることは多くの場合失敗につながります。そのため、「必死のかけ方」を知っておくことが推奨されています。
ポイント
例えば、将棋では、「次に詰ましますよ」という手(詰めろ)が良い手とされることが多いですが、その「詰めろ」が「どう受けても詰まされる状態」になっている場合が理想的です。
これが「必至」の状態であり、この状態になると、必至をかけられた方は、相手の玉を即詰めにしない限り、負けになるとされています
鬼手/奇手
将棋の用語「鬼手」および「奇手」は、いずれも特定の手の選択に関連していますが、異なる文脈で使われます。鬼手(きしゅ)は、囲碁や将棋などで使用され、これは相手の意表をつくような奇抜な手を指す言葉です。
特定の局面で非常に効果的であり、通常は予期しない形で現れ、対局者の計画を混乱させる可能性があります。一例として、1972年12月24日に行われた花村元司九段と中原誠名人の対局で花村九段が示した有名な鬼手が挙げられています。
一方、奇手(きしゅ)もまた奇抜な手段や変わったやり方を指しますが、これは通常、通常の手筋や予期される手から逸脱した、または非伝統的な手を指すために使われます。
奇手は時には驚きや新しい可能性をもたらし、対局者を驚かせることがあります。特に、将棋の若手プロ、藤井聡太竜王は、対局ごとに奇抜な鬼手を放ち、歴戦の棋士らを驚かせています。
強手
将棋の用語「強手」(きょうしゅ)は、特定の戦術的な手を指す言葉で、主に価値の高い駒を犠牲にするような動きを指します。
この用語は、大駒や金駒のような重要な駒を戦術的に犠牲にする手を意味しています。
強手は特に、大駒や金駒を使って派手な手を指す場合に使われることが多く、このような手は「強い手(つよいて)」とも言われます。
また、「強手」は、通常は攻めの手を指すが、防御の手の場合は「受けの強手」と言うこともあります。
ポイント
強手は、うまく行かないと大きな駒損になる可能性があるが、進行すると、詰み、必至、詰めろ、突破、駒損回復など、それを上回る戦果を見越していることがあります。
この用語は、「深く読むことのできる強い人が指す手」という意味合いがあるとされています。
頭金
将棋の用語「頭金」(あたまきん)は、特定の局面での重要な手筋を指します。
この用語は、相手の王将の一つ前方のマスに持ち駒の金将を打つことを表し、それによって王将を詰ませる手筋を指します。
将棋の業界では「頭」とは駒の一マス前を指し、この頭の位置に金将を打つことを特に「頭金」と呼びます。
金は前3方向と横に利きがあるため、頭金を打つことで王将は横に逃げることができなくなります。
頭金は将棋における基本的な手筋であり、特に王将を詰ますための基本中の基本とされています。初心者のプレイヤーにとっても、頭金は最初に学ぶ重要な手筋の一つとされています。
駒の使い方と交換
挨拶をする
将棋における「挨拶をする」は、いくつかの異なる側面を持っています。まず、最も一般的な意味では、対局前と対局後に相手に対して礼を言うことを指します。
一方で、「挨拶をする」にはもう一つの意味もあります。将棋の局面で、相手の特定の手に対して素直に反応することを指します。
例えば、相手が端歩を突いた際に、同じ筋の端歩を突くことは、挨拶をすると言われます。
この意味での「挨拶」は、相手の攻めに弾みをつけてしまう可能性があるため、戦術的には一考の余地があります
寄り形(よりがたち)
将棋の「寄り形」という用語は、特定の局面や手筋を指します。主に、「寄り」という用語は、王が詰んだり、必至がかかったりする状況、または盤上の駒を1つ横のマスに移動することを指します。
寄りの一手一手は、詰みまでの「受け」を強いられる状況を指すもので、寄りが起こることで、相手の王の近辺に何らかの攻めのとっかかりを作ることが可能となり、これが後々の大きな攻めの足がかりとなることがあります。
また、寄り形は、受けの無い形を指し、一手すき、二手すき、三手すきなど、王様が取られるまでの手数は異なるものの、その手数で王様が取られるのを防げないという状況を示します。
例えば、二手すきの寄り形になった場合は、詰めろをかけ続けなければ負けという状況になります。
謝る
将棋の用語「謝る」は、主に相手の攻撃を受け入れる行動を指します。通常、この用語は相手の攻撃に対して防御的な手を指す際に使われることが多いです。
具体的には、相手の攻撃駒が前進してきた際に、自陣に持ち駒の歩を打って成駒を作られることを防ぐために使われます。
また、「謝る」は「ごめんなさい」と同じ意味とされている点も特徴的です。
ポイント
さらに、現代将棋においては、「謝る」は主に相手の歩が6段目まで進んできた場合に、8段目に歩を打って受ける行動を指すことが多いとされています。
この動きは主に防御的な意味合いが強く、相手の攻撃を避けるために行われることが多いです。
また、例えば「端を謝る」のような用法もあり、これは端攻めを受けずに取り込まれた時に使われるフレーズとされています。
覗く
将棋用語の「覗く」は、特に角を利用して相手の陣に対して有効な動きを作る行動を指す言葉です。
将棋の局面において、角が自陣近くの安全な位置から動かされ、相手陣に向けて効果的な利きを生み出す場合に、「覗く」という用語が使われます。
例えば、石田流という戦型において、先手が8八の位置にいた角を9七に動かすことで、角の利きにより8六や7五の地点を守りながら、6四の攻めにも参加する動きを作り出すことができます。
「覗く」の動作は角を違う筋に利かせることで、これにより新たな戦術的な可能性や相手に対する脅威を生み出すことができます。
このように、将棋における「覗く」は戦術的な動きを指し、特に角の動きを利用して新たな攻撃や防御の機会を作り出すことを意味します。
頓死
将棋の用語「頓死」は、特定の局面で、最善手で対応すれば玉が詰まなかったにも関わらず、応手を間違えたり、逃げ方を誤ったりしてしまい、結果として自玉が詰んでしまうことを指します。
また、単純に詰めろがかかっているのを見落としてしまい、他の手を指すことで自玉が詰む状況も「頓死」とされます。
一般的に「頓死」は急死と同じ意味であり、将棋の文脈では「死」を「詰み」に置き換えて使われることがあります。
注意
この用語は、指し手の評価自体は関係なく、不注意や見落としにより、突如として玉が詰まされてしまう状況を指し示すものであり、本来すぐには詰まない局面であっても、逃げ方を間違えることによって即詰みになってしまうことも含まれます。
このように、「頓死」は将棋において、不注意や誤った判断により突如として自玉が詰む、または勝利が逆転する状況を表現する用語として使われています。
俗手
将棋における「俗手」という用語は、誰でも容易に思いつきそうな、またはわかりやすい手のことを指します。
例えば、玉を詰める際に金を連続して使用する「ベタ金」という手があり、これは非常にわかりやすい勝ち方とされ、俗手の一例とされています。
つまり、俗手は一般的かつ直観的な手を指し、これらはしばしば初心者やアマチュアプレイヤーにとって理解しやすい手となっています。
一方で、「俗手」はその筋の悪い手とも解釈されることがあります。プロのプレイヤーから見れば、俗手は必ずしも最善手ではなく、時としてその筋の悪い手が良い手となる場合もあるとされています。
これらの説明から、「俗手」は将棋において、一般的で直観的な手、またはその筋の悪い手を指す言葉となっており、プレイヤーのスキルレベルや見識によって解釈が異なる可能性があります。
切る
将棋の用語「切る」には二つの主な意味があります。一つ目は、価値の低い駒と高い駒を交換すること、特に大駒(飛車や角)を小駒(金、銀、桂馬、香、歩)と交換する場合に使われます。
通常は駒損と言われる状態ですが、詰みや寄せがあるような場合や、結果的に大駒1枚と金銀2枚を交換できるような場合には、総合的に判断して得となることもあります。
二つ目は、「歩を切る」の表現で、盤上のある筋から歩をなくすことを指します。
これは「歩を突き捨てる」「相手の歩と交換する」「相手に歩を取らせる」ことによって、その筋から歩がなくなることを意味します
切れ筋/切れ模様
将棋の局面において、「切れ筋」という用語は非常に重要な概念を表します。攻めの手が進む中で、正しい反応を示せば攻めが完結し、局面が収束する手順を指します。
これは攻めの手が正しいタイミングで終息し、その結果どのような局面が生まれるかを理解することが要求されます。
一方、「切れ模様」というフレーズは、攻めが完全には終わらず、駒損だけが残る状態を示します。
これは、攻めが切れてしまいそうで、結果として駒の損失だけが生じるような局面が発生することを示唆しています。
特に、攻めの流れが停滞し、どうにも攻めが切れてしまいそうな時に、この「切れ模様」という表現が使われます。
これらの用語は、攻めの進行やその終息、そしてそれが局面にどのような影響を与えるかを理解する上で重要な指標となります。
質駒
将棋では、「質駒」という用語は特定の駒が取られる可能性について言及する際に使用されます。
具体的には、質駒は寄せ合いの最中で、必要なときにいつでも取ることができる状態の駒を指します。
この用語は、相手方の駒が取れる状態にあることを示しますが、実際にはその駒を取ることはせず、その状態を利用してゲームを進めることがあります。
ポイント
質駒は実質上、取ることができる状態にあるため、その駒を持っている側のプレイヤーにとっては、その駒が自分の持ち駒であると等しい状態となります。
特に、飛車や角などの価値の高い駒で低価値の駒を取る際にこの用語が使用されます。
質駒の概念は、プレイヤーが将棋盤上での戦術的な動きを考える際に重要です。質駒の存在は、相手の動きを制限したり、特定の戦術を実行する際に利用したりすることができます。
戦術と戦略
縛り/縛る
将棋の局面において、「縛り」または「縛る」は重要な戦術的概念を表現する用語であり、これは玉の逃げ道を制限または閉ざすために特定の駒を配置することを指します。
これにより、相手の玉の動きを制限し、攻めを有利に進めることが可能になります。
この用語は、駒がどのように配置され、それが玉の動きや局面の展開にどのように影響するかを理解する際に用いられます。
また、縛りの技術は、攻めの際に相手の玉の逃げ道を制限し、詰めの機会を作り出すためにも重要です。
特に、飛車や角などの大駒を使用して玉の逃げ道を縛ることは、将棋の戦術の中で常に重要な要素とされています。
焦点
将棋の戦術において、「焦点」という用語は特定のマスに焦点を当てる重要な概念を表します。
このマスは、大駒が2つ以上、または玉や小駒が3つ以上効いている状況を示し、ここに捨て駒を配置することで戦術的な利点を得ることがあります。
これらの焦点となるマスは基本的には攻めづらい場所であり、相手プレイヤーにとっては防御の要となることが多いです。
しかし、捨て駒を用いることで最善形を壊し、駒の働きを悪くすることができる場合もあります。
さらに、「焦点」に相手が打つ歩のことは「焦点の歩」と特に呼ばれ、これは将棋の独特な手筋の1つとされています。
この手筋は、プレイヤーが焦点のマスを利用して相手の防御を破壊し、局面を有利に進めるための重要な戦術的選択肢を提供します
勝負手
将棋の勝負手は、局面の勝敗を大きく左右する決定的な一手を指します。
この用語は、特に困難な局面で逆転の可能性を見出すために、プレイヤーが大胆な手を打つ状況を表現するのに使われます。
勝負手は、通常は形勢が不利である側が、逆転を狙って指す大胆な手を指します。このような手は、リスクが伴うものの、それによって局面が大きく変わる可能性があります。
また、勝負手は囲碁や将棋において対局の勝敗を左右する重要な石や駒の動かし方で、特に状況の悪い方が逆転を狙った打ち手のことを指します。
勝負手は、プレイヤーが不利な局面からの逆転を狙うために、通常は考えられないような大胆な手を打つ状況を示すため、非常に戦術的な重要性を持っています。
また、勝負手は通常、相手プレイヤーに対して精神的なプレッシャーを与え、彼らが過ちを犯す可能性を高めるため、非常に効果的な手段となることがあります。
勝負手をうまく使うことで、プレイヤーは局面を有利に進め、勝利に近づくことができます。
一手損
将棋における「一手損」という用語は、指し手の効率が悪く、通常であれば一手で達成できる目的を二手かけて行動することを指します。
具体的には、一手で到達できる位置に駒を動かすのに二手を使用する場合、これを「一手損」と表現します。
例えば、一手で移動できるのに二手かけて移動する場合、たとえば68飛から78飛に移動する場合などが「一手損」とされます。一手損は、手(ターン)を損することで、将棋の効率性を損なうことにつながります。
特定の戦術においては、一手損が意図的に行われることもあります。
例として、「後手番一手損角換わり」という戦法があり、この戦法では後手が角を交換することで、実質的に一手損をすることになります。
しかし、この戦法はプロの将棋でも使用される有力な戦法とされており、後手が一手損しても、特定の戦術的目的を達成することが可能となります
手抜き/手抜く
将棋における「手抜き」や「手抜く」という用語は、特定の局面で相手の駒が取られる、または攻め込まれるなどの状況に直面しているにもかかわらず、その応対をせずに他の手を指すことを指します。
この動きは、通常は、駒を取られたり、攻め込まれたりする状態に対する応答を選択せずに、代わりに別の手を指すことを意味し、将棋の手筋の一つとされています。
「手抜き」や「手抜く」の行動は、相手に対する直接的な応答がない場合にはあまり使われないことがあります。しかし、この戦術は、特定の局面で他の重要な手を指すための時間を作るために利用されることがあります。
また、「手抜き」や「手抜く」は、相手に対して精神的なプレッシャーを与えたり、局面を有利に進めるための戦術的な選択として利用されることもあります。
Z(ゼット)
将棋の用語「ゼット」は、”絶対に詰まない” の頭文字「Z」からきています。
この言葉は、特定の局面において、特定の駒を相手に渡さない限り、自玉が詰まない状態を指します。
つまり、「ゼット」はある種の安全な局面を示し、これによりプレイヤーは攻めの手を続けることができます。
この用語は、特定の駒の動きや位置に関連して使用されることがあり、例えば「桂馬Z」「斜めZ(斜め後ろに動ける銀か角)」「横Z(金か飛車)」などと言われることがあります。
「ゼット」の概念は主に終盤に重要となります。
終盤では、プレイヤーが攻めることによって相手の駒が増える可能性がありますが、自玉が「ゼット」の状態であれば、どれだけ多くの駒を渡しても自玉は安全であり、攻め続けることができます。
これは、プレイヤーが詰めろを掛け続けるか、または必死を掛ければ勝ちになる、という戦術的なアドバンテージを提供します
味がいい
将棋の用語「味がいい」は、駒の動きや手の広さに関連する感触を表現する言葉で、一手で複数の良い効果が期待できる場合に使われます。
例としては、自分の駒の働きが良くなる、相手の駒の働きが弱くなる、自分が指したい手が増える、相手の指したい手を防ぐといった状況があります。
また、「味がいい」は、特に「一石二鳥の手」として表現されることがあります。
具体的な例としては、「銀にひもをつけつつ飛車の横利きを通す味のいい手」というような、複数の効果をもたらす指し手が存在します。
さらに、「味が良い」という表現は、「ちょうど良い」や「感触が良い」という意味で使われることもあり、将棋では遊び駒を活用したり、一手で複数の働きを持った手が「味が良い手」とされることが多いです。
友達をなくす手
将棋用語「友達をなくす手」とは、特定の局面での戦術的な選択を指します。
このフレーズは、局面が有利で攻めれば自然に勝てるような状況にも関わらず、プレイヤーが意図的に受けに回り、相手に何もさせないような指し方を選択することを表しています。
これは、通常は勝利が確実であると考えられる局面で、強固な受けの手を指したり、駒得に偏重した手を指すことを意味し、解説の際に「この手は友達をなくしますね」と表現されることがあるようです。
さらに、「友達をなくす手」は、玉を攻めれば勝てるのに、とどめを刺さずに、相手の重要な駒を取るなどして、確実に相手との形勢の差を広げ、相手をみじめにさせるような手を指すことを意味することもあります。
また、終盤で指し手が着実かつ非常に厳しいことを茶化して「友達をなくす手」と呼ぶこともあるようです
うるさい
将棋の用語「うるさい」とは、効果的な攻撃が継続している状況を指します。
この用語は、プレイヤーが受けるべきか攻め合うべきかの判断に迷う度合いによって、「うるさそう」「少しうるさい」「うるさい」「かなりうるさい」といった形で使われることがあります。
また、この用語はわずらわしい状況や、振りほどけそうで振りほどけない攻めに対しても使われます。
具体的な例としては、「金を打ちこまれるとうるさいので先に受けておく」という使い方があります。
このように、「うるさい」という用語は、特定の局面における攻撃や防御の判断を表現する際に用いられることがあります。
さばく
将棋における「さばく」という用語は、攻め駒を効果的に活用することを指します。
この用語は、敵陣への侵攻や相手の駒との交換を通じて、一時的に使いづらかった駒を活動的に使うことを表現するために使われます。
具体的には、攻め駒(特に飛車や角)をうまく働かせたり、攻め駒と守りの駒を交換して持ち駒にしたり、成り込んだり、交換したり、取らせて手を稼いだりする場合に使われる言葉です。
また、「さばく」は、駒を取らせている間に攻める場合や、特に振り飛車を指す場合に求められる指し方であり、振り飛車党のトッププロである久保利明先生は「捌きのアーティスト」と呼ばれることもあるそうです。
さらに、「さばく」は働きの悪い駒を働く駒にするための方法としても使われる用語であり、敵陣に侵攻するや駒交換をして、駒台に乗せるなどの方法が含まれます
そして、特に振り飛車を用いる場合に重視される用語であり、攻め駒と守りの駒を交換して持ち駒にすることが一例とされています。
あやをつける
将棋の用語「あやをつける」は、一般的には悪い局面を複雑にし、勝敗の行方が不明確となるような局面を作ることを指します。
この表現は、特に困難な状況や不利な局面で、プレイヤーが局面を混乱させることで相手の判断を難しくし、自分にとって有利な展開を作り出すことを目指す際に使われます。
また、「あやをつける」は、入り組んだ仕組みを作り出すことや、局面を複雑にすることを意味する表現としても使われます。
このような用語は、将棋の戦術において重要な役割を果たし、プレイヤーが局面を自分にとって有利な方向に導くための手法として利用されます。
形勢判断の用語
形勢判断の用語は、良い時から悪い時まで様々なものがあります。
それぞれ順番に詳しく解説します。
局面が良いとき(互角~有利~優勢~勝勢)
互角
将棋の局面が互角とは、双方のプレイヤーが等しい条件または力を持っている状態を指します。まるで将棋の開始時のように、どちらにも明らかな利点はありません。
ポイント
この状況では、各プレイヤーの戦術や策略が非常に重要となり、小さな利点を見つけ出すことができれば、将来的にはその利点を拡大し、勝利につなげる可能性が高まります。
また、互角の局面は、プレイヤーの心理的な要素が大きく影響する場面でもあります。
どちらのプレイヤーも、少しでも優位に立とうとするために、相手の意図を読み取り、自身の計画を立てることが求められます。
さらに、互角の局面では時間の管理も重要となります。適切な時間をかけて最善の手を考え、かつ、思考時間を過度に消費しないバランスを取ることが求められます。
時間を有効に使いながら良い手を指すことで、徐々に局面を有利に進めることが可能となります。
有利
将棋の局面で有利とは、ある程度の利点を持っている状態を指します。この利点は、駒の配置や攻撃の可能性によって得られます。
有利な局面では、自分の駒が相手の駒よりも良い位置にあるため、攻撃や防御がより効果的に行える可能性が高まります。
有利な状況を作り出すためには、前もって良い形作りをすることが重要です。良い形は、駒が互いに助け合いながら、盤面全体で効果的に働くことを可能にします。
ポイント
また、有利な局面を保つためには、相手の攻撃を効果的に防ぐことや、自分の攻撃チャンスを見逃さないことが重要です。
有利な局面でも油断は禁物です。将棋は状況が急速に変化するゲームであり、一瞬の油断が局面を逆転させる可能性もあります。
常に集中を保ち、相手の可能な手や計画を予測し、対策を考えることが重要です。
優勢
優勢とは、将棋の局面で有利よりもさらに強い利点を持っている状態を指します。この時点で、勝利に向けた明確な道筋が見えてきます。
優勢な局面では、自分の駒の配置が非常に良く、相手に対してプレッシャーを与えることができます。また、優勢な局面では、相手の攻撃を効果的に防ぐことができ、自分の攻撃チャンスも増えることが多いです。
優勢を築くためには、局面の読みや形作り、そして時には駒の交換など、多くの要素が重要となります。
良い局面の読みは、先の展開を予測し、自分にとって有利な形を作り出すことを可能にします。また、駒の交換は、局面をシンプルにし、自分の優勢をさらに明確にすることができます。
優勢な局面でも、油断は禁物です。相手に回復のチャンスを与えないよう、常に集中を保ち、局面を冷静に評価することが重要です。
勝勢
勝勢とは、将棋の局面で勝利が目の前に迫っている状態を指します。敵に回復の余地をほとんど与えない、非常に強力なポジションにあることを意味します。
勝勢な局面では、自分の駒が圧倒的に優位で、敵の玉将に対する直接的な脅威を持っています。
ポイント
勝勢を築くためには、優勢な局面をさらに推し進め、敵の防御を崩すことが重要です。また、敵の反撃の可能性を常に考慮し、自分の王将を安全な位置に保つことも重要です。
勝勢な局面では、効果的な手順を選び、敵の玉将を詰ます状態に持ち込むことが最終目的となります。
勝勢な局面でも、油断や急ぎすぎは禁物です。敵の反撃や驚きの手を警戒し、冷静に最善の手を選び続けることが勝利への確実な道となります。
また、時間を適切に管理し、余裕を持って最善の手を考えることも、勝勢を勝利へと導くために重要な要素となります。
局面が悪いとき(不利~劣勢~敗勢)
不利
将棋の局面で「不利」という状態は、プレイヤーが敵に対して一定の劣勢があることを指します。
しかし、この状態でも適切な戦術と冷静な判断で局面を回復するチャンスはまだ残されています。不利な状況でも諦めずに、最善の手を考え続けることが重要です。
不利な局面で成功するためには、劣勢を回復する可能性を見つけることが必要です。これには、敵の弱点を見つけ、効果的な防御策を立て、そして適切なタイミングで反撃を仕掛けることが含まれます。
これにより、不利な局面を少しずつでも改善し、勝利に向けて戦い続けることが可能になります。
また、不利な局面では、自分の駒の保護と敵の攻撃の阻止が重要となります。効果的な防御策を立てることで、敵の攻撃を遅らせ、回復のチャンスを作ることができます。
不利な状況を乗り越え、勝利への道を見つけるには、持ち前の戦術的思考と冷静な判断が不可欠です。
劣勢
劣勢は、不利よりもさらに厳しい状況を意味します。この状態では、相手に対して顕著な不利があり、戦局を逆転させるには相当な努力と戦術的知識が必要とされます。
劣勢の状態では、敵の攻撃が続く中で自分の防御を強化し、反撃のチャンスを探さなければなりません。劣勢の状態でも、適切な防御策を立てることで相手の攻撃を阻止し、反撃の機会を作ることができます。
このためには、局面を冷静に分析し、敵の弱点や攻撃の隙間を見つけることが重要です。また、劣勢の状態で有利な局面を作るためには、効果的な駒の配置や戦術的な判断が求められます。
さらに、相手の攻撃パターンを理解し、未来の展開を予測することで、劣勢から回復する可能性を見出すことができます。
劣勢の局面を乗り越えるためには、持ち前の知識と経験、そして忍耐力が試される瞬間でもあります。これは、将棋が持つ深い戦術的要素と、プレイヤーの判断力が勝敗を左右する面白さを示しています。
敗勢
敗勢は、相手に対して非常に不利な状態であり、勝利の可能性が非常に低くなっていることを指します。
この状態では、相手の攻撃が圧倒的で、自分の防御が壊れる危険が高いことを意味します。しかし、将棋は予想外の展開があり、敗勢からの逆転もまた可能なゲームです。
敗勢の状態で成功するためには、積極的な防御と効果的な反撃の計画が必要となります。このためには、相手の攻撃パターンを理解し、自身の駒の最適な配置を考えることが重要です。
また、相手の意図を読み取り、未来の攻撃を予測することで、敗勢から回復する可能性を見出すことができます。
敗勢の状態でも、冷静な判断と戦術的な思考で局面を改善するチャンスがあります。ここでの一手一手が、勝敗を大きく左右する可能性があり、プレイヤーの判断力と戦術的思考が試される瞬間でもあります。
敗勢からの回復は難しいかもしれませんが、持ち前の知識と経験を活かし、相手の攻撃を阻止し反撃することで、敗勢からの逆転を目指すことができます。
これは、将棋が持つ深い戦術的要素と、プレイヤーの判断力が勝敗を左右する面白さを再確認させてくれます。
おすすめの将棋用語本2選
ここからはおすすめの将棋用語本を2冊紹介します。
実は将棋用語の本は数自体少ないのです。ここでは現代でも使えるものに絞って紹介します。
「観る将」もわかる将棋用語ガイド
「観る将」もわかる将棋用語ガイドは、青野照市著による細かく編纂された将棋用語に関する書籍です。
この本は、将棋の用語とその実際の使用を図面付きで分かりやすく解説し、将棋を実際にプレイする人だけでなく、観戦する人にとっても将棋の楽しさをさらに広げる内容となっています。
図面は各用語に2つずつ提供され、実際の指し手や実戦の進行を具体的かつ詳細に解説しています。
さらに、それにまつわる興味深いエピソードや背景情報も掲載されており、読者にとって将棋用語とその背後にあるストーリーをより理解しやすくしています。
近年では、将棋を実際にプレイせずに観戦するだけのファンの数が増えており、解説会や観戦イベントが非常に人気を博しています。
しかし、将棋用語を完全に理解していない「観る将」も多く、この状況が将棋コミュニティと新しいファンとの間にギャップを生んでいます。
この書籍は、そのギャップを埋めるための素晴らしいツールとなり、将棋用語を理解することで将棋の観戦が3倍おもしろくなると紹介されています。
また、将棋のプレイヤーやファンのコミュニティにおいて、言葉の壁を取り除くことで、より広範なコミュニケーションと交流を促進する助けともなっています。
将棋番組が10倍楽しくなる本
“将棋番組が10倍楽しくなる本”は、将棋ライターのアライ コウ氏によって書かれており、将棋の文化、歴史、専門用語、および戦法について解説されている本です。
この本は、将棋に詳しくない人でも将棋の番組を楽しめるようにすることを目的としています。特に、将棋に強くなるための本ではなく、将棋に詳しくなるための本です。
具体的な内容としては、どうやったらプロになれるのか、名人になるためにはどうすればいいのか、優勝賞金はいくらもらえるのかといった、将棋に関連するさまざまな話題がQ&A形式で解説されています。
さらに、この本には超人気女流棋士による描き下ろしコラムも収録されており、女流棋士の仕事の裏側についても覗くことができます。
また、「将棋文化検定」の受験者にとっては必読の1冊とされており、将棋文化や歴史について詳しく学ぶことができます。
肝心の将棋用語の数はそんなに多くないので、将棋用語だけでなく将棋について詳しくなりたい人向けの本になります。
まとめ
この記事では、将棋の基本用語や戦術、戦略についてご紹介しました。
要点をまとめると以下の通り。
- 基本用語では、形作りや壁、利かし/利かすなど、将棋の基本的な動きや配置を理解するための用語を解説しました。
- 攻撃と防御の節では、合駒や割り打ち、底歩など、攻撃と防御の基本的な戦術について詳しく説明しました。
- 駒の使い方と交換の節では、挨拶や切る、切れ筋/切れ模様など、駒の効果的な使い方と交換の戦術について解説しました。
- 形勢判断の節では、局面が良いときと悪いときの判断基準について、具体的な状態を例にして説明しました。
将棋では、効果的な駒の配置とタイムリーな攻撃・防御が重要なポイントとなります。
ぜひこのポイントを押さえて、更なる戦術の理解と実践に挑戦してみてください。
さらに詳しく知りたい方は、はじめて将棋を指す!最初の一歩としての入門必読記事まとめもどうぞ。
この記事を書いた人
-
10代で将棋のルールを覚えるも、定跡の存在を知らず挫折する。大人になって将棋熱が再燃し、詰将棋や定跡を猛勉強。将棋サイトに登録し、ノンストップで 将棋ウォーズで5級まで到達しました。その後も学習を続け、2級、1級と昇級しましたが、1級で長く伸び悩みました。PDCAサイクルを導入したり、師匠に教わったりして、ついに初段に昇級。現在は指し将棋は休止中にし、将棋ブログを執筆しています。
将棋歴:11年/段位:アマチュア初段
資格・実績:将棋ウォーズ初段の達成率最高86%/将棋倶楽部24は最高R716
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