【初段に近づく練習法】序中終盤を強化する効果的な棋譜並べのやり方

【初段に近づく練習法】序中終盤を強化する効果的な棋譜並べのやり方
  • 将棋の棋譜並べは意味がある練習法か知りたい
  • 初心者でも棋譜並べをすることで効果はあるのか知りたい。
  • 序盤、中盤、終盤を一度に鍛えたい
  • 中盤力がつかなくて困っている。

将棋は単なるゲームではなく、精神的な戦いでもあります。一手の重み、緊迫した空気、そして、そのすべてが高まる勝利の瞬間。

多くの人がその魅力に取り憑かれ、上達を求めていますが、その進化の道は常に険しい。しかし、この道を進む上で効率的なスキルアップの方法は何か?」という疑問に答えを出すのは簡単ではありません

この記事は、そんな将棋愛好者たちへの解決策として提供されます。

筆者は、将棋アマチュア初段の知識を用い、さまざまなレベルの対局者と対談、そして数多くの研究をもとに、将棋スキル向上のための確立された手法をご紹介します。

今回の内容では、特に「棋譜並べ」に焦点を当てます。なぜ棋譜並べが重要なのか、どのようなメリットがあるのか、そして棋譜の選び方などもご紹介します。

この情報を使えば、あなたの読み力はもちろん、序盤、中盤、終盤における多様なスキルと戦術も確実に向上するでしょう。

将棋の「棋譜並べ」とは?

将棋の棋譜並べとは

棋譜並べの定義と概要

棋譜並べ(きふならべ)とは、将棋のプロ棋士や有名なアマチュア棋士が過去に行った対局(一局)を、その詳細な記録である「棋譜(きふ)」を参照して、自分自身で手を進めて再現する特定の練習方法です。

この練習方法は、過去に行われた名局や歴史に残るような局面を、実際に自分の手で模倣することによって、その棋士がどのような戦術や戦略を用いたのかを理解し、自らのスキル向上につなげるという目的があります。

言い換えれば、過去の名局を自分で体験する

この練習法では、あたかも自分がその名局を実際に指しているかのような体験が可能です。

名局の棋譜を元に手を進めることで、その局面で何が最も効果的な手か、どのような局面判断が行われたのか、どういった狙いや戦術が存在したのかといった、多角的な視点から局面を解析することができます。

これによって、実際の対局で即座に役立つような知識やテクニックを習得することが期待できます。

このように、棋譜並べは単なる練習方法ではなく、将棋の理解を深め、さまざまな局面での対応力を高めるための重要な手段とされています。

実際に多くのプロ棋士も、自分が成長する過程で棋譜並べを行っていると言われています。この練習方法がどれだけ多くの人々に普及しているかを考えると、その効果の高さがうかがえます。

将棋初心者向けの棋譜並べ入門

入門

初級者は序盤だけでもOK

全局を並べるのが難しい場合、特に初級者にとっては、序盤だけでも棋譜並べを行うだけで非常に大きな効果が期待できます。

序盤での手の選択は将棋全体での方向性を大きく影響しますので、この部分に集中することで、その後の中盤・終盤にも良い影響を与えることがあります。

初級者が序盤に焦点を当てることで、基本的な戦術や駒の動き、布陣に対する理解が深まり、それが全局面においてのパフォーマンス向上に繋がります。

初級者向けの具体的なステップ

もし全局を並べるのが難しそうな場合は、序盤10手程度をターゲットにすると良いでしょう。

その際に、各手が持つ意味や目的を理解しようと努力することで、序盤で得られる知識と経験がより豊富になります。

そして、それが中盤や終盤での戦術選択にも役立つでしょう。

このように、考えすぎずに効率的に進める方法と、初級者が特に注目すべき序盤の戦術に焦点を当てた棋譜並べが、スキル向上には非常に効果的です。

考えすぎても効果なし

棋譜並べで最も重要なのは、効率的に練習を行うことです。しかし、一手一手に何分もかけてしまうと、逆にその効果は薄れてしまいます。

理由としては、長い時間をかけて考えることで過度に緊張感が生まれ、その結果としてリラックスした状態でのプレイが難しくなる場合があるからです。

もし一手に迷ってしまったら、そのまま次の手に進むか、一度その局面を離れて後で戻って来ることが有効です。

このようにして、練習中のストレスを軽減しながら、効果的な棋譜並べを行いましょう。

棋譜の選び方: 4つの重要なポイント

ポイント

得意戦法の戦法の棋譜

自分が得意とする戦法(戦い方)の棋譜を選ぶことは非常に効果的であり、いくつかの理由がその背景にあります。

第一に、得意な戦法に焦点を当てることで、既に習熟している戦法をさらに精緻化する機会が生まれます。

このような特化した練習は、特定の局面での自信を高めるだけでなく、汎用性の高いスキルや戦術にも応用できます。

第二に、得意戦法に特化した棋譜を選ぶことで、深いレベルでの戦術や戦略について研究できるのです。これは、他の戦法や一般的な将棋の理解にも間接的に役立ちます。

得意戦法に関連する棋譜を分析すると、その戦法がどのような局面で有利か、または不利かも明らかになるでしょう。

好きな棋士の棋譜は3つのメリットがある

好きな棋士がいる場合、その棋士の棋譜を並べるのは効果的であり、また楽しみも倍増します。

好きな棋士の戦術や思考プロセスを深く理解することは、自分自身のスキルアップはもちろん、その棋士の成功の裏にある原理を理解することにも繋がります。

更に、その棋士のスタイルや手法を模倣・実践することで、自分自身のプレイスタイルに新しい要素を取り入れる可能性が高くなります。

このように、好きな棋士の棋譜を並べる行為は、感情的にも豊かな練習となり得るのです。

観戦記や自戦記の棋譜【解説の重要性】

詳細な解説がついている観戦記や自戦記の棋譜も、多くの理由でおすすめです。解説があることで、一手一手の戦術的な意味やその局面での選択肢が明確に理解できます。

ポイント

さらに、解説がついていると、その棋譜が何を目的としているのか、どのような戦術や戦略が働いているのかについても、より深い洞察が得られます。

これは、より高度なスキルや理解を獲得する上で非常に価値のあることです。

解説のない棋譜をおススメしない理由

一般的に、解説のない棋譜はおすすめできません。その理由は複数ありますが、特に重要なのは、何が良い手で何が悪い手なのかが非常に不明確であるためです。

このような状況では、学習者は自らが何を間違っているのか、または正確に何をしているのかを自分で判断しなくてはならず、これが誤った学習や認識につながる危険性が高いです。

また、解説のない棋譜には、その局面でなぜその手が選ばれたのかといった背景情報や戦術的な洞察が欠けているため、同じ過ちを繰り返す可能性があります。

以上の4つのポイントとその詳細に注意を払いながら棋譜を選ぶことで、棋譜並べの練習がより効果的かつ楽しいものになると考えられます。

将棋の棋譜並べの効果

メリット

一局の流れがつかめる

棋譜並べを行うと、一局全体の流れをしっかりと掴むことが可能です。

この流れとは、ゲームが始まる序盤から中盤の戦術、そして終盤に至るまでの各段階で何が起こるのか、どのような選択肢があるのかについての理解が深まります。

短い時間内に多くの局面を経験することで、将棋の戦術や戦略がどのように変化するのかを総合的に把握できるようになります。

さらに、対局時に出てくるさまざまなパターンに対しても、素早く正確な判断ができるようになります。

符号が読めるようになる

棋譜は一手一手が「符号」と呼ばれる独特の記号で記録されています。これを読む力が身につくと、自分だけでなく他人とも効率よく情報を共有できるようになります。

特にオンラインでの対局や将棋関連のフォーラム、書籍などでこのスキルは非常に便利です。

符号が読めるというスキルは、高度な戦術を理解し、他人と有意義なディスカッションをするための基本となります。

さらに、これによって他のプレイヤーとのコミュニケーションがスムーズになり、より高度なテクニックや戦術の共有が可能になります。

攻めや守りの手筋が身に付く

棋譜並べによって、プロ棋士や上級者が用いる手筋(戦術)を実際に指してみることで、その手の良さや意味、そしてその手が生まれる背景や状況にも深い理解が得られます。

単に手筋を知るだけでなく、それがどのような局面で有効で、どのように使うべきかまでが体感できます。

更に、同じ手筋が異なる局面でどのように機能するのか、または機能しないのかも明らかになります。

指し手の幅が広がる【多様な戦術選択】

棋譜並べをすることで、多様な局面に対する最良の手や、さまざまな戦術と手筋を知ることができます。

これにより、自分自身の選択肢が大幅に広がり、それぞれの局面で多角的な考慮ができるようになります。

具体的に言うと、一つの局面に対して複数の有効な手がある場合、そのどれが最も適しているかを理解できるようになります。

加えて、その知識は新たな局面での応用力をも高め、自身の将棋のレベルをさらに向上させます。

勝ち切り方、逆転の仕方が分かる【精神的な強化も】

勝っている局面でどのようにプレイを進めれば勝利を確実にすることができるか、逆に厳しい局面でどのように戦えば逆転のチャンスをつかむことができるのか、その具体的な手法や戦術が理解できます

これにより、実戦での精度が高まるだけでなく、プレッシャーのかかる状況でも冷静な判断ができるようになります。

特に終盤の緊迫した局面でも、過去に学んだ手筋や戦術を効果的に活用できるようになり、精神的な強さも増してきます。

効果の具体例

ケーススタディ

具体例1: 序盤・中盤力が上がる

棋譜並べにより、序盤での定跡(基本的な手筋)や中盤の戦術に対する理解は明らかに深まります。

この理解が広がると、特定の状況でこれらの戦術や手筋をいかに効果的に使うかが自然に理解できるようになるのです。

例えば、序盤においては駒の最適な配置や、攻撃と防御のバランスをいかに取るかといった要点が明確になります。

さらに、中盤での局面判断においても、相手が出した手に対する最良の反応や、局面によって変わる戦術的優位性など、より高度な戦術的考慮も可能になります。

このようにして、自分の戦術的な選択肢を増やし、それによって多角的な戦いができるようになるのです。

具体例2: 終盤力が上がる

棋譜並べによって、終盤における多様なスキルと戦術が総合的に向上します。特に終盤の入り口から始まり、囲い崩し、寄せ、そして詰めろから詰みに至る一連の過程を体系的に学べます。

この学習は、局面ごとに最適な手を選択する力を養い、終盤において一瞬の隙も与えない堅実なプレイを可能にします。

特に詰めろ逃れの攻防や受けの技術に焦点を当て、具体的なケーススタディを通して、効率的な対応方法を学ぶことができます。

例えば、相手からの詰めろを巧みに逃れる方法や、自分が詰めろをかけた際の相手の逃れ方への対処法など、実戦に即した戦略を習得します。

このように、棋譜並べを通じて終盤の戦術的、技術的、さらには心理的な各側面を深く理解し、局面ごとの最適な手を選ぶ力を身につけることができます。

棋譜並べの成功の鍵

成功の鍵

大量の練習が不可欠

棋譜並べは一度や二度の試みでは、その効果を充分に体感するのは困難です。この事実が強調するべき点は、大量に行わなければならないという観点です。

短期間で効果を求めるのではなく、長期的な取り組みが必要とされます。この継続的な練習が、局面ごとの最適な手順を自然と身につけさせる力を持っています。

特定の戦術や手筋に対して繰り返し練習をすることで、その手筋がリアルタイムで思いつきやすくなります。その結果、迷っている時間が削減され、全体的なゲームスピードが向上します。

このようにして、棋譜並べは疑似的な経験を積ませ、次第に対局でのパフォーマンスを高めていくでしょう。

思考速度の飛躍的な向上

一つ一つの練習がもたらすもう一つの極めて大きな利点は、思考速度の顕著な向上です。この効果は、特に時間制限があるゲーム形式での影響が大きいと言えます。

棋譜並べを大量に行うことで、多くの局面や異なる戦術に瞬時に適応する能力が身につきます。

このスキルは、対局において迅速で正確な判断力に直接貢献し、プレイレベルを飛躍的に向上させます。

定跡を理解するためには、専門家の棋譜を並べるといいという話

専門家の棋譜を並べることで、定跡(一般的に良いとされる序盤の手順)についての理解が深まります。

専門家の棋譜では、高度な戦術や深い戦略が織り交ぜられており、それらを通じて定跡の各手順が何を目的としているのか、どのような局面で有効なのかが明確にされています。

このようにして、専門家の棋譜を研究することで、単に手順を覚えるだけでなく、その背後にある理論や意図についても理解することが可能となります。

加えて、多くの専門家が独自の解釈やアイディアを持っているため、異なる棋士の棋譜を比較研究することで、更に多角的な理解が得られるでしょう。

将棋の棋譜並べの効果的な時間とペースについて

効果的な時間

かけるべき時間は?推奨の時間帯

1局の棋譜並べにかけるべき時間は、約15~30分程度を目安にすることがおすすめです。この時間帯を守ることで、各手に対する戦術的な意味や局面の理解が深まります。

さらに、この時間内に棋譜を研究することで、実際の対局においても慌てずに適切な手を選ぶスキルが養われます。

長すぎると集中力が途切れる可能性があり、短すぎると十分な分析ができないため、この時間帯が適していると言えます。

高速棋譜並べはどのくらい?

高速で棋譜並べを行う場合、1局に10分以内を目指すことが良いでしょう。高速棋譜並べの主な目的は、手筋や戦術を速く認識し、短時間での判断力を向上させることです。

特に、制限時間のある対局においては、高速で正確な判断を下す能力は非常に重要です。

そのため、短時間で多くの局面に触れることで、タイムプレッシャーのもとでも冷静に戦えるようになる可能性が高まります。

このように、棋譜並べの時間には、一般的なケースと高速ケースで異なる目的と効果があります。

どちらの方法もそれぞれの状況や目的に応じて効果的ですので、自分のニーズに合わせて選択してください。

初めての挑戦はじっくりと深い考察を行う

初めての挑戦では、各手を指す前と指した後で必ずその手の意味と目的を自問自答するようにしましょう。

また、相手がどのように反応する可能性があるかを予測し、それに対する対策も考えることが重要です。

このような詳細な自問自答を繰り返すことで、棋譜並べの練習がより効果的になります。

また、棋譜並べに初めて取り組む方々にとって、最初は非常に時間をかけ、各局面について詳細な考察を行うことが大変重要です。

このゆっくりとしたアプローチにより、初心者でも各手の意義や、それに続く複数の局面に対する理解が深まります。

棋譜並べに関する疑問と答え

Q &A

将棋の棋譜並べは初級者でも意味ある?意味ない?

初級者にとっても棋譜並べは非常に有効です。基本的な手筋や戦術を学ぶことができるため、初級者でも十分に効果があります。

具体的には、棋譜並べによって初級者が犯しやすい初歩的なミスを避けられるようになる可能性があります。さらに、実際の対局でよく出てくる局面や形に対する理解が深まります。

その結果として、ゲームの全体的な強さが向上するでしょう。このような練習を積むことで、中級者や上級者に対してもしっかりとした戦いができるようになる可能性が高まります。

また、一般的に棋譜並べは初段くらいからの練習方法と言われていますが、初級者で筋が良くなるという意味では効果があります。

欲を言えば手の意味がわかった方が効果を得やすいのですが、高速棋譜並べなど、ほとんど手の意味を考えなくても筋が良くなるので問題ないでしょう。

盤駒は使った方がいい?利点とおすすめの理由

盤駒を使うことで、実際の対局に近い環境で練習できるため、おすすめです。盤駒を使用することの主な利点は、対局時の緊張感や集中力を再現することができる点です。

さらに、手を使って駒を動かすことで記憶に残りやすく、感覚が磨かれます。特にデジタルだと脳にうまく記憶されにくいため、盤駒を使っての練習が有用です。

このようにして、駒の動きや配置に対する感覚が養われるため、実際の対局での判断力や局面認識が向上する可能性があります。

初心者はいつ棋譜並べという上達方法をしたらよいのか?

初心者の方が棋譜並べを始めるのに最適なタイミングは、基本的なルールと基本的な手筋を覚えた直後です。

この時期に棋譜並べを行うことで、最初に学んだ基本的な知識を確固たるものにするチャンスが生まれます。

また、プロや上級者の棋譜を通じて、高度な戦術や手筋も早い段階で観察することができ、自分自身の成長速度を加速させる可能性があります。

中級者がいつから棋譜並べやるべきなのか?

中級者の場合、基本的な手筋や戦術、定跡がしっかりと身についたら、次のステップとして棋譜並べを始めることをおすすめします。

このレベルになると、単に基本的な戦術を超えて、より複雑な局面や戦術に対応する能力が必要になってきます。

棋譜並べを通じて、さまざまな戦局や手法に触れ合い、それらに対する理解と対処能力を高めることができます。

このような練習によって、更なるスキルの向上とともに、より高度な対局に挑む自信がつくでしょう。

まとめ

この記事では、棋譜並べとその効果についてご紹介しました。

要点をまとめると以下の通り。

  • 棋譜並べによって読み力や理解力が向上する。
  • 序盤や中盤といった、中々鍛えにくいところも鍛えることができる。
  • 終盤における多様なスキルと戦術が総合的に鍛えられる。
  • 棋譜の選び方や効果的な時間を紹介し、それぞれの特徴や利点を解説した。

棋譜並べでは、具体的な手法と戦術の理解が重要なポイントとなります。

棋譜並べでは、ぜひこのポイントを押さえて、実践してみてください。

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